インバウンド消費によって恩恵が得られるインバウンド関連株は主に旅行、航空、ホテルなどの宿泊系、百貨店、家電量販店などの買い物系などの事業を行う銘柄が該当します。
今回はインバウンド関連株の本命株、そして2023年時点の高配当銘柄を合わせてご紹介いたします。
インバウンド関連株が物色される背景
一度に大量に買うことを表す『爆買い』という言葉が流行したのが2015年。
もちろんその前からも表現としてはありましたが、この時期中国人観光客が日本を訪れ高額商品から日用品まで様々な商品を大量に買い込む様子を多くの日本メディアが取り上げたことで一気に認知されるようになりました。
『インバウンド』という言葉は2000年代の小泉政権時にまでさかのぼり、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」に盛り込まれたビジット・ジャパン・キャンペーンをきっかけに知られるようになりました。
訪日客数は2019年まで増加傾向が続いていましたが、新型コロナウイルスの拡大を受けて2020年は激減するも回復に向けた動きも進み始めており、日本政府観光局(JNTO)が2023年4月19日発表した2023年3月の訪日外国人の人数は181万人と、前年同月の30倍近くに急増。コロナ前である2019年3月(276万人)と比べても7割弱の水準まで回復していることから関連株にも期待が寄せられます。
またインバウンド消費は円安が進むことで追い風となる場合もあり、株価にも影響を与えています。
インバウンドが影響を与える関連株
インバウンド消費の影響は日本経済に直結すると言っても過言ではないため、日本でのBtoCビジネス(Business to Consumerの略で企業と消費者間の取引のこと)を行う企業は恩恵を受けやすくなります。
国内の需要に基づいて売り上げや利益が増減する企業、いわゆる内需関連株とも言えます。
もちろんすべての内需株が含まれるわけではなく、旅行関連、宿泊関連、小売関連などが主な対象となります。
インバウンド関連銘柄の本命株
インバウンド関連銘柄 本命株【9202】ANAホールディングス
【9202】ANAホールディングスは多くの方がご存じの通り国内線、国際線ともに業界首位の企業。本命というより代名詞的な立ち位置にいる企業です。2025年度に過去最高利益目指す中期経営戦略も発表しており、コロナの落ち着きも拍車をかけています。
インバウンド関連銘柄 本命株【9201】日本航空
【9201】日本航空はANAに続き国内線、国際線ともに業界2位。航空業界の活況はインバウンド消費への影響に直結しますが、両社どちらも国際線の旅客人数は前年実績を大幅に超えています(2022年12月時点)。
インバウンド関連銘柄 本命株【9020】東日本旅客鉄道
首都圏が地盤の鉄道最大手【9020】東日本旅客鉄道も本命。鉄道以外にもJRE MALLの越境EC化の検証を開始しており、インバウンド需要回復に向けて日本各地のいいものを取り揃え、海外で直接体験・購入する機会をつくることで、新しい旅マエの体験を創出し、地域活性化に繋げる試みを行っています。
インバウンド関連銘柄 本命株【9603】エイチ・アイ・エス
【9603】エイチ・アイ・エスは海外旅行中心の大手旅行会社。コロナの影響を受けた旅行事業、ホテル事業ともに赤字幅は縮小傾向にあり、2023年2月には鹿児島県、3月には熊本市と観光誘客に関する連携協定を締結するなど九州でのインバウンド観光推進に積極的な動きを見せています。
インバウンド関連銘柄 本命株【4661】オリエンタルランド
【4661】オリエンタルランドは入園者数世界有数の東京ディズニーランド・シー運営。ホテル、商業施設含めたリゾートを展開。ディズニーはコロナ前の外国人訪問客の割合は全体の10%にまで達した時期もあったようですが、コロナ後の数値は少し不透明な部分も。しかし基本的に円安などの恩恵も受けやすいためインバウンド関連銘柄の本命株のひとつと言えます。
インバウンド関連銘柄 本命株【8202】ラオックスホールディングス
【8202】ラオックスホールディングスは国内最大規模の免税店。中国人観光客による「爆買い」の聖地とも言われたことで「インバウンド関連株と言えばラオックス」という印象をお持ちの方もいるかと思いますが、コロナ禍を迎えた影響もあり現在ではリテール、海外、アセット・サービスの3つの事業を手掛ける総合サービス企業グループへと進化しています。
インバウンド関連銘柄 本命株【3048】ビックカメラ
【3048】ビックカメラは家電量販大手。22年10月に政府が実施した水際対策の緩和による影響からか、都市型のビックカメラで織り込んでいなかったインバウンド売り上げが好調となり、2023年8月期第2四半期(22年9月1日~23年2月28日)の連結業績予想を上方修正しています。
インバウンド関連銘柄 本命株【9616】共立メンテナンス
【9616】共立メンテナンスはビジネスホテル「ドーミーイン」とリゾートホテルを全国展開。2023年3月期第3四半期累計(2022年4~12月期)の連結決算は、売上高が前年同期比22.9%増の1291億3100万円、最終損益が41億4300万円の黒字(前年同期は39億3000万円の赤字)。インバウンド需要の回復などを支えに高い稼働率と客室単価を維持し、大幅な増収・黒字化を達成しています。
インバウンド関連銘柄 本命株【8233】高島屋
【8233】高島屋は東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。2023年4月に発表された3月訪日外国人客数は181万7500人となり、前年同月比では27.5倍、前月比でも23%の増加。単月で150万人を超えたのは20年1月以来とインバウンド消費拡大への期待が改めて高まりを見せています。
インバウンド関連銘柄 本命株【7532】パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
【7532】パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは総合ディスカウント店ドン・キホーテを展開。インバウンドと言えばドン・キホーテ!のようなイメージもあるくらい訪日外国人客層に強いディスカウント店です。2023年6月期第2四半期累計(2022年7~12月)の連結決算は、最終利益が前年同期比22.0%増の367億7700万円となり、これまでの計画(330億円)を上回って着地しています。
インバウンド関連銘柄 本命株【2780】コメ兵ホールディングス
【2780】コメ兵ホールディングスは中古ブランド品首位。名古屋を本拠地として宝石、貴金属、時計、バッグなどのリユース事業を展開しています。日本は中古高級ブランドの偽物が少ないことから外国人のニーズが高いと言われており、こちらもインバウンド消費の本命株のひとつとなっています。
インバウンド関連銘柄の高配当銘柄
インバウンド関連銘柄の中から利回り3%を目安にした高配当株16銘柄(2023/4/24時点)をご紹介いたします。
銘柄名 | PER (会社予想) |
利回り(%) (会社予想) |
---|---|---|
【2986】LAホールディングス | 6.64 | 5.56 |
【9904】ベリテ | 18.08 | 4.82 |
【7762】シチズン時計 | 10.94 | 4.55 |
【8892】日本エスコン | 8.72 | 4.42 |
【8890】レーサム | 4.93 | 4.23 |
【8410】セブン銀行 | 16.77 | 3.96 |
【8173】上新電機 | 7.53 | 3.78 |
【8591】オリックス | 10.80 | 3.75 |
【8282】ケーズホールディングス | 8.85 | 3.72 |
【7956】ピジョン | 30.23 | 3.71 |
【3464】プロパティエージェント | 5.32 | 3.57 |
【2391】プラネット | 16.75 | 3.43 |
【2730】エディオン | 9.58 | 3.35 |
【3646】駅探 | 28.55 | 3.20 |
【9142】九州旅客鉄道 | 18.19 | 3.02 |
【6555】MS & Consulting | 12.88 | 3.01 |
まとめ
今回はインバウンド関連株の本命株、そして2023年時点の高配当銘柄をご紹介させて頂きました。
インバウンド関連株はインバウンド需要の拡大、コロナ以前のインバウンド消費にどこまで戻るのかにも注目しながら監視してみるとよさそうです。
もちろん株価が下落することもあるので、あくまで参考程度になればうれしいです。
株式投資を行う上で悩みの種となるのが銘柄選び。
しかし最近では多くの情報がありますので、参考になる情報を選べれば、大化けが期待できるインバウンド関連株の銘柄選びにも一歩近づくかもしれません。
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